環境キーワード
環境やモニタリング、規格や手法に関するキーワード集
【 あ 】
悪臭
- 悪臭は、典型七公害の一つで事業所や工場、下水道などから発生する不快な臭気のこと。悪臭防止法はアンモニアなど臭いの元となる22物質を悪臭物質に指定して煙突などの排出口や事業場の敷地境界で規制している。人により感じ方が異なるため「感覚公害」とも呼ばれる臭気の測定法としては、複合臭気の問題等に対応するため「3点比較式臭袋(においぶくろ)法」が導入されているものの、欧州連合(EU)では機械が臭いのある空気と無臭の空気の2種類を吐き出し、人間がかいで比べる手法が公式な測定方法に指定され、マイナーな日本の手法は窮地に立たされている。
悪臭防止法
- 工場やその他事業所における活動に伴って発生する悪臭について、必要な規制を行うことを定めた法律であり、生活環境を保全し国民の健康の保護を図ることを目的としている。規制の方法は「特定悪臭物質」の濃度による規制と「臭気指数」を用いる規制の2種類がある。規制地域、規制基準値は都道府県知事が制令の範囲内で定めることができる。1971年公布。
アスベスト(石綿)
- ギリシア語の「σβεστο」”しない(ない)”という意味の「a」と、”消化できる”という意味の「sbestos」)から来ている。石綿とも言われ、天然に存在する繊維状の鉱物のことである。主成分は、珪酸マグネシウム塩で蛇紋石石綿と角閃石石綿に分けられる。繊維一本の細さは、だいたい髪の毛の5000分の1程度の細さである。主たる産出国はカナダ、南アフリカ、ロシアなどである。アスベスト繊維が体内でアスベストボディーとなり、内蔵を刺激することで肺がんや中皮腫の原因になると考えられている。
アメニティ(Amenity)
- アメニティとは、産業革命後、環境破壊が急速に進んだイギリスで生まれた都市計画の重要概念で、環境面での快適さを意味する言葉。「快適な環境、環境の快適さ」等と訳される。
硫黄酸化(SOx)
- 四日市ぜん息の原因となった大気汚染物質。燃料中の硫黄が燃焼することにより発生する。大気汚染防止法施行後、脱硫装置設置等の対策により著しく濃度は低下した。コンビナート等の人口発生源の他に自然発生源もあり、東京近郊では三宅島の雄山の噴火による影響で噴火前より硫黄酸化物濃度が高くなっている。
イオンバランス
- 生体では+イオンが増加してバランスが崩れると、疲労感や不眠、頭痛、イライラ、生活習慣病など人間の体に様々な影響を与えると言われている。このため現在では、水辺から大気中に生成する-イオンが注目を浴びている。基本的に水は-イオンと+イオンがバランスを保って溶存しており、理論的には-イオンと+イオンの総量は等しくなる。その分析は、イオンクロマトグラフによって行われることが一般的。
奪われし未来
- シーア・コルボーン、ダイアン・ダマノフスキ、ジョン・ピーターソン・マイヤーズ等の共著として1996年3月にアメリカで出版された『Our Stolen Future』の日本題。いわゆる「環境ホルモン」問題を世に知らしめることになった記念碑的書物で、発刊と同時に大反響と論争を呼び起こし、世界 16カ国で訳書が出版される大ベストセラーとなった。
音風景
- 人々が地域のシンボルとして大切にし、将来に残していきたいと願っている音の聞こえる環境のこと。ある音源から物理的に伝わる音を受け手である人間が認知し、評価することを通じ、環境と人間が一体化して生ずる風景である。
温室効果ガス
- 太陽光により暖められた地表から出された赤外線の何割かは大気中に吸収され、再び大気中から地表へと放射されるため、地表面はより高い温度となる。この効果を温室効果といい、大気中で赤外線を吸収する気体を温室効果ガスと呼ぶ。
【 か 】
カーボンオフセット
-
自らが経済活動や生活などを通して排出した二酸化炭素などの温室効果ガスの量について、他者が植林・森林保護・クリーンエネルギー事業などで削減した量を利用して相殺(オフセット)することを意味する。つまり他で行った温室効果ガスを削減する活動を購入することで間接的に排出する量を削減しようという行為を指す。入手した排出削減クレジットは、失効させる手続きを取ることによって、その分が削減されたことになる。
化学物質の子どもガイドライン(室内空気編)
- 化学物質の子どもへの曝露量を低減することを目的とし、東京都福祉保健局が打ち出したガイドライン。子どもは呼吸量が大人に比べて少ないため、体重あたりで比較すると大人よりも多く化学物質を取り込でいる。また、体が小さいため、床や壁からの影響も受けやすい。普段から換気、空調設備には注意を払い、部屋に適した管理を行うことが有効。保育園や学校、図書館等では、害虫駆除や床清掃等は作業時期や時間帯を考慮し、計画的に実施することなどが求められている。
極端な気象(Extreme Weather)
- 特定の地域における気象現象の確率分布からみて、稀に起きる異常な気象現象。極端な高温/低温や強い雨など、特定の指標を越える現象のことを指す。具体的には、集中豪雨、干ばつ、台風、洪水、熱波、寒波に加えて、冷夏・暑夏、寒冬・暖冬や長雨などがこれに当たる。一定期間の気象現象発生数の平均で、その発生する平均が極端(10%以下あるいは90%以上)な現象とされる。極端な気象の発生頻度が上昇している昨今の気象状況は、地球温暖化の影響とされることが多い。
クロルピリホス
- 1965年以来米国で登録されてきた有機リン系殺虫剤で、シロアリ駆除などに家庭用から農業用まで広く用いられている。環境中では水生生物への悪影響が危惧される他、人体への影響も確認されている。アメリカでは2000年6月の米環境保護庁と製造会社との用途制限合意で、生産禁止に至っている。日本でもシックハウスの要因物質としてクロルピリホス発散の恐れがある建材を使用禁止とすることが検討されている。
香害(こうがい)
- 洗濯に用いる柔軟剤や整髪料などに含まれるわずかな量の合成香料によって、不快感や頭痛、アレルギー症状などの様々な健康被害が誘発されること。ヒトがわずかな悪臭を嗅いだ時に唾液中のα-アミラーゼの分泌量増加など、交感神経系のストレス応答を引き起こす生理的反応が生じることが分かっている。化学的に生成される合成香料から化学物質過敏症が誘発される事例も多く報告されている。
【 さ 】
催奇形性
-
胎児に奇形を起こさせる性質のこと。受精卵が胎児に発達する段階で、何らかの因子が作用して胎児に外観的または解剖学的に奇形を発生させることがある。催奇形性をもたらす因子としては、化学的な物質のほかに、放射線などの物理的因子、ウイルスや細菌などの生物的因子、栄養不足などの生理的因子、環境因子、遺伝的因子がある。
湿式測定機と乾式測定機
- 大気質の常時監視をする測定機に、わが国では1970年代から今日まで湿式測定機を使用してきた。湿式測定機は化学分析の原理に基づいたもので、NO2の測定に用いるザルツマン試薬とかオキシダントの測定に用いる沃化カリ溶液などを用いて測定を行う。これに対して、乾式測定機は物理の原理に基づいたもので、化学発光法とか紫外線吸収法とかが用いられる。わが国は長らく湿式法を用いていたため、先進国では唯一国連の大気質統計から除外されてきていた。
湿性降下物
- 大気から地上に落ちてくる(降下)物の中で水分と一緒に降下してくる物質のこと。主として大気中で雨に取り込まれて地上に落下してくる物質を指す。雨に取り込まれずに、乾いた状態で自然に大地に落下してきた物質は乾性降下物という。降下してくる窒素や燐の量が多いと湖沼などでは富栄養化等の環境問題が発生する。
臭気指数
- 複合臭を総合的に評価することのできる数値である。算出方法は、臭いのついた空気や水を臭いが感じられなくなるまで無臭空気(水の場合は無臭水)で薄めたときの希釈倍率である「臭気濃度」を求め、その常用対数値に10を乗じることにより求められる。なおこの試験は嗅覚測定法により、正常な嗅覚をもっていると判断された被験者によって行われる。なお、臭気指数の算出式は以下の通りである。臭気指数=10×log(臭気濃度)
自動車NOx・SPM法
- 「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」のこと。自動車から排出される窒素酸化物(NOx)と浮遊粒子状物質(SPM)による環境大気汚染を防止することを目的として平成4年に施行された。当初は、窒素酸化物のみが規制対象物質であったが後で浮遊粒子状物質も追加された
循環型社会(Recycling Societies)
- 大量消費社会に代わって持続的な発展が可能な社会を達成するための新たな社会のイメージ。廃棄物対策の優先順位を発生回避、再生利用、適正処理の順とし、生産、流通、消費、廃棄という社会経済活動の全段階を通じた資源利用の循環化・効率化、循環負荷の極小化を目指すもの。
責任投資原則(PRI/Principles for Responsible Investment)
- 環境や社会的課題に配慮している企業を重視・選別して投資する意思決定プロセスを受託者責任の範囲内で反映させるべきとした国際的なガイドライン。国連環境計画 並びに国連グローバル・コンパクトが推進する世界共通のガイドライン的な性格を持つ。2006年当時の国際連合事務総長であったコフィー・アナンが金融業界に対して提唱したイニシアティブ。
ゼロ・エミッション(Zero Emission)
- 国連大学が提唱する廃棄物ゼロ構想。産業活動に伴う廃棄物等に起因する環境負荷をできる限りゼロに近づけるため、産業における生産工程を再編成し、廃棄物の発生を抑えた新たな循環型産業システムを構築することを目指すもの。
【 た 】
ダイオキシン類
- ベトナム戦争で使用された枯葉剤に不純物として含まれていた、2,3,7,8-四塩素化ジベンゾジオキシンと類似した毒性を持つ化学物質の総称。ジベンゾジオキシンの他にジベンゾフラン、ダイオキシン様PCBを含む。平成12年にダイオキシン類対策特別措置法が施行された。主として廃棄物の燃焼等により発生する。
等速吸引(Isokinetic Sampling)
- 排ガス中の粒子成分の濃度を測定する際に、流れてくる排ガスと同じ速度で試料ガスを吸引してサンプリングする手法。試料ガス吸引ノズルと合わせてダクト内の排ガスの流速、温度、圧力を測定しながら、同じ速度で吸引できるよう調整する。早く吸引しすぎると濃度は低くなり、遅すぎると濃度は高い結果となる。排ガス中のダイオキシン類やアスベスト、放射性物質等は、この手法を用いて正確に測定する必要がある。
中皮腫
- 中皮細胞由来の腫瘍(体細胞が過剰に増殖する病変のこと、癌もその一つ)の総称である。悪性のもの、良性のものがある。悪性中皮腫はかなり希な疾病であり、その発症にはアスベスト(石綿)が関与していることが多いと言われる。発生場所は、胸膜が多く、他に腹膜、心膜などがあり、それぞれ胸膜中皮腫 (肺)、腹膜中皮腫(胃腸・肝臓などの腹部臓器)、心膜中皮腫(心臓)という。職業上の暴露事例では、暴露されてから中皮腫が発症するまでの潜伏期間は最短でも11年であり、平均では35~40年と極めて長いという特徴がある。
ディーゼル車排出ガス DEP(Diesel Exhaust Particles)
- ディーゼル機関から排出される微粒子のこと。都市部における大気環境の汚染原因と言われている。化学的構成は主にEC(Elemental Carbon)、OC(Organic Carbon)、および硫酸塩で構成されることが知られており、条件によってはその構成は大きく変動する。環境基準の設けられているSPMに対する寄与が高いと言われており、特に粒径が小さい(マイクロ~ナノオーダー)ことから健康影響が懸念されている。
特定悪臭物質
- 悪臭防止法に基づいて指定される「不快な臭いの原因となり、生活環境を損なう恐れのある物質」である。現在は22物質が指定されていて、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチルなどがある。これらの物質は都道府県が指定した地域において、敷地全体から排出される場合、気体排出口から排出される場合、排出水に含まれる場合の3形態に対応し、規制基準が設けられている。
トレーサビリティー
- 英語のtrace(痕跡)とability(能力)が組み合わさった造語で、「追跡可能性」などと訳される。環境調査などで測定されたデータが国家標準などにどのように連結していくかの説明能力を指し示して用いられることが多い。また、牛肉などの食品についても、原料調達、生産、流通、販売までのトレーサビリティを確立し、リスク管理が行われるようになってきている。
【 な 】
ナノ粒子
- 粒子の直径が100ナノメートル(nm)以下の粒子を超微小粒子と呼ぶが、通例50ナノメートル以下のものをナノ粒子と呼ぶ。極めて微小な粒子なので、肺胞にまで到達し、肺組織やリンパ節に沈着することが判ってきたため、健康影響に関する懸念が拡大し、近年注目されている。
野焼き
廃棄物を野外で焼却すること。野焼き行為は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法、廃掃法)や各自治体の条例などで原則的に禁止されている。一般的には、牧草の採草地として利用している野草地に火を入れて焼く作業をいうこともある。農業などで出た植物性の廃棄物を多くの農家が一定の期間に集中して野焼きにて処理する季節には、環境大気中のPM2.5などの有害物質の濃度を上昇させる要因となっていることが指摘されている。
【 は 】
ばっき槽
- 処理水に含まれる有機性の汚濁物質を微生物の働きによりきれいにする装置。下水などの処理水に空気を吹き込んで好気性の微生物が繁殖しやすい環境を作り、微生物の生物活動を利用して汚濁物質を食べてもらうことにより水をきれいにする。
パリ協定
- 国連気候変動枠組条約 第21回締約国会議(COP21)が開催されたフランスのパリにて2015年12月12日に採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定。目標として世界的な平均的気温の上昇を産業革命以前と比べて2℃未満に抑えることとしている。2016年11月に発効した。
非意図的生成化学物質
- そのものを作ろうという意図がなくて生成してしまう化学物質。PCBやフロンはその利便性から人工的に作られた化学物質であるが、後になって、環境を汚染することが分かり、製造や使用が規制された。これに対し、廃棄物の焼却に伴って発生するダイオキシン類などのように作る意図がなくても生成してしまう化学物質をいう。
ピコグラム(pg)
- ピコとは、極めて小のものを表すときに用いる接頭語で、ピコグラムは1兆分の1グラムを表す重さの単位。極微量物質と呼ばれるダイオキシン類などの有害化学物質については、ピコグラムのオーダーで測定、分析、評価する。
ファインバブル
- 直径が100μm(=0.1mm)より小さな状態で水中に存在する小さな泡。
泡の大きさによってファインバブルのうち、直径100μm未満で1μm以上の泡を「マイクロバブル」、それより小さい直径1μm未満の泡を「ウルトラファインバブル」と呼ぶ。
マイクロバブルは非常にゆっくりと水中を浮上し、収縮して消滅するが、ウルトラファインバブルは水中で浮上せず、数週間~数カ月の寿命があるとされる。極めて小さいため、微細なスペースに入り込んで作用することができるため、様々な工業的用途で利用される。
浮遊粒子状物質 SPM (Suspended Particulate Matter)
- 空気動力学的特性が粒径10μm未満の大気中に浮遊する粒子状物質のこと。環境基本法に基づく大気汚染に係る大気汚染物質である。環境基準は、1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること。(48.5.8告示)
粉じん PM (Particulate Matter)
- 粒子状物質のこと。SPMやPM2.5などの用語に対し、空気動力学的特性に関わる粒径を定めず、広い意味で用いられる。物の破砕や選別などの機械的処理または堆積に伴って発生、飛散する物質のことを指す。環境大気中に浮遊する微小な粒子状の物質の総称として用いられることもある。
ポリ塩化ビフェニル(PCB)
- 耐熱性、耐薬品性、絶縁性に優れており、変圧器やコンデンサーなどの絶縁体、熱媒体などに使われていたが、1972年に通産省の指導で生産を中止した。すでに出回っているPCB利用製品は、メーカーや事業所が保管することになっているが、保管中に紛失されるものが多く、PCB無害化処理技術の実用化が急がれている。「カネミ油症事件」の原因となったとされることが多いが、カネミ油症事件で直接原因となったのはPCB含有油が加熱されたことにより生成されたダイオキシン類(PCDF)と考えられる。
【 ま 】
マイクロプラスチック(Microplastics)
- 環境中に存在する微小なプラスチックの粒子で一般には直径5mm未満のプラスチックの粒子または断片。海洋環境において大きな汚染課題となっていたが、昨今は環境大気中でもその存在が観測されている。例えば化粧品のようなマイクロサイズで製造された一次的マイクロプラスチックと大きなサイズで製造されたものが、自然環境中で5㎜以下に破砕・細分化されて生じた二次的マイクロプラスチックに区別される。ペットボトルやビニール袋が紫外線などに晒されて劣化することで発生するマイクロプラスチックも二次的なもの。自然生物がマイクロプラスチック自体とそれに付着した有害物質(PCBやDDTなど)を摂取した後、生物濃縮によって食物連鎖上位の生物や人間の健康にも影響することがわかっている。
ミティゲーション(Mitigation)
- 人間の活動によって発生する環境への影響を極力減少させると共に、開発によって損なわれる環境を補償することによって、環境への影響をできるだけ緩和しようとする行為。急激な湿地帯の減少の問題に対処するため、1970年代にアメリカで生まれた考え方。ミティゲーションには主に次の3段階があるとされている。1.回避:環境影響のある行為をしないことで影響を避ける。2.低減:環境影響のある行為の実施中に、保護やメンテナンスで影響を軽減する。3.代償:代替資源や環境を替わりに提供することによって環境影響の代償措置を行う。
【 や 】
優先取組物質
- 中央環境審議会(1996年)答申で指定された有害大気汚染物質の内の健康リスクが高い22種類の物質。環境中の濃度や発生源の排出実態、有害性、などについて、体系的に調査することや事業者へ自主的に排出抑制の努力をすることが求められている。
具体的には、アクリロニトリル、アセトアルデヒド、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、クロロメチルメチルエーテル、酸化エチレン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、水銀及びその化合物、アスベスト様繊維を含むタルク、ダイオキシン類、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン、ベリリウム及びその化合物、ベンゼン、ベンゾa-ピレン、ホルムアルデヒド、マンガン及びその化合物、六価クロム化合物となっている。
優良小型焼却炉
- 2002年12月に改訂された廃棄物処理法の焼却炉に対するダイオキシン規制により、ダイオキシン類排出規制対象外だった小型焼却炉について、焼却炉の構造基準が強化された。これを受けて、日本産業機会工業会による「優良小型焼却炉」の評価認定制度が2003年3月に開始された。これまでに5社の小型焼却炉が「一般雑芥混合用焼却炉」と「一般雑芥・高分子系混合用焼却炉」の分野でこの認定を受けている。
【 ら 】
ライフサイクル・アセスメント(LCA)
- ある製品について製造、流通、消費、廃棄のプロセスにおける環境影響を総合的に評価する方法。海外へ製品を輸出するに当あたって、ライフサイクル・アセスメントによる評価が求められるケースが増えてきている。これを導入することにより、定量的・客観的に環境負荷を把握することができるので、効果的に環境負荷を削減することができる。また、製品寿命全体をとらえて商品設計を行うことができるようになる。
ラニーニャ現象
- 南米大陸の沿岸付近から太平洋赤道域の広いエリアにおいて、海面水温が平年より低くなり、数か月にわたってその状態が続く現象。日本近海の太平洋上や大西洋の欧州付近の高気圧や低気圧のバランスを崩し、それぞれの地方に極端な気象(Extreme Weather)をもたらす。一般的にラニーニャ現象が発生している状態でアジア地方では、東部で冷たい海水の湧き上がりが強くなり、西部に暖かい海水が厚く蓄積する。結果としてインドネシア付近の海上で積乱雲が盛んに発生する。
ラムサール条約
- 1971年(昭和46年)に採択、1975年(昭和50年)に発効した、重要な湿地の保全と適正な利用、そこに生息する動植物の保全を国際的に推進することを目的とた条約。日本は1980年(昭和55年)に加入した。正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」であるが、条約が作成された地であるイランの都市ラムサールにちなんで「ラムサール条約」と呼ばれる。2018年10月現在で締結国は170か国、登録地数は2,372か所、面積で約253万平方キロメートル程度。日本国内の条約湿地は、52か所、15万4,696ヘクタール程度となっている。
【 わ 】
ワシントン条約
- 1973年(昭和48年)に採択され、1975年(昭和50年)に発効した、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保護を図ることを目的とした条約。野生動植物の国際取引の規制を輸入国と輸出国の双方が協力して実施することによって、種の保護を達成しようとしている。日本は1980年(昭和55年)に加入した。正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」。条約の附属書に掲載されている野生動植物の国際的な取引は禁止または制限されて、輸出入を行うには許可書等が必要となる。
ワールドウォッチ研究所(World Watch Institute)
- アメリカの非営利研究機関で世界的動向や異変を監視、解析することを目的としている。地球や人類に大きな影響を与える兆候を観察した場合、世界に向けて警鐘を鳴らす。地球白書「State of the World」、雑誌「World Watch」を発行中。
【 英数 】
CASBEE (キャスビー/建築環境総合性能評価システム)
- 建築環境・省エネルギー機構内に設置された委員会によって開発された建築物の環境性能評価システム。建築や街づくりについて、地球環境・周辺環境に配慮していること、ランニングコストに無駄がないこと、利用者にとって快適であること等の性能を客観的に評価・表示するために使われる。2001 年に国土交通省が主導して開発された。
CMB法 (Chemical Mass Balance)
- 浮遊粉じんは、工場等の固定発生源、車等の移動発生源、土壌等の自然由来のもの、ガス状物質が大気中で反応し生成される二次粒子等、生成される由来が多様である。浮遊粉じんと各々発生源から排出される粉じんの成分組成を求め、特定の物質の質量の釣り合いを基に発生源寄与率を推定する方法。
EPA (Environmental Protection Agency)
- Environmental Protection Agency [米国環境保護庁]の略。大気、土壌、水質などの自然環境を保全することを目的に1970年に設立されたアメリカ合衆国の環境政策全般を担当する行政組織。ワシントンD. C.に本部がおかれており、10ヶ所の地方支部局及び10数カ所の研究所が存在する。
GLP (Good Laboratory Practice)
- Good Laboratory Practice [優良試験所基準]の略。環境分析や化学物質、医薬品等の安全性評価試験の信頼性を確保するために、試験所における管理、試験(分析)、報告などに関する基準を定めた制度。試験事業所毎に試験計画、信頼性保証体制、運営管理、内部監査体制、試験設備等について具体的な規定があり、関係省庁による3年毎の更新が求められている。
LEED(リード/Leadership in Energy & Environmental Design)
- 省エネと環境に配慮している建物を評価、認定する制度。最高クラスの建築や都市を作るための戦略や実現させる手法を評価するプログラム。グリーンビルディングは必須条件(Prerequisite)を満足し、選択項目のポイント(Credit Points)を取得することが求められる。要件は新築、既存、街区開発などごとに設定されており、そのポイントに応じて4段階の認証レベルが決まる。省エネルギー、再生可能エネルギーの利用などを推進しながら、建築コストや利用資源の削減を求め、人々の健康にいい影響を与えることを目指している。
NOx(のっくす;窒素酸化物)
- 窒素酸化物のことで、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)を含めた総称。xは酸素の数を特定しないで示している(この場合は1か2)。主として自動車のエンジン内で燃料が燃焼する時に空気中の窒素が酸化(燃える)されることによりできる。平成4年にNOxの排出削減のため、いわゆる自動車NOx法が施行された。
PM2.5(Particulate Matter 2.5)
- 浮遊粒子状物質(SPM)の中で、粒径が2.5μm以下の小さなものを微小粒子状物質(PM2.5)と呼ぶ。空気動力学的特性が粒径2.5μmで50%カット特性をもつ。浮遊粒子状物質(SPM)に比べ、より微小な粒子状物質であることから肺胞の深部にまで到達するため、健康への影響が大きいとされる。
- 日本国内では粒子の発生源のうち、自然由来のものを除く人工的な発生源として、ディーゼル排気粒子の削減努力などが継続されているが、中国の大気汚染が悪化する昨今は、大陸からの越境汚染が無視できないレベルに達している。
- アメリカでは1997年7月に大気環境基準が年平均15μg/m3、24時間平均 65μg/m3と定められた。日本では、2009年9月に大気環境基準が年平均15μg/m3以下かつ1日平均値35μg/m3以下とするよう定められた。
ppm、ppb
- ppmは100万分の1、ppbは10億分の1を表す単位。大気や水などの中に含まれる環境汚染物質の濃度を表すのに用いられる。Ppmは1m3(1×1 ×1mの立方体)の大気の内、1cm3の汚染物質があること。ppbは1000m3(10×10×10mの立方体)の大気の内、1cm3の汚染物質があることを示している。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)
-
「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)の略称。2015年9月にニューヨーク国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」において「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」として採択された成果文書のことを指す。2030年を目標年とし、人間、地球および繁栄を持続的に実現していくため行動計画として宣言された。内容は17の世界的目標、169の達成基準、232の指標から成る。
TUV
- 「Technischer Uberwachungs-Verein」の頭文字をとった「TUV」はテュフと読み、ドイツ語で「技術検査協会」を意味する。行政から独立した第三者試験認証機関である。ドイツでは、第三者試験認証機関が製品の安全性を認証することに対する意識が高く、「認証マークのついた製品・商品を選択する」という消費者は34%になり、そのうちの24%もが、「テュフマークの貼付を基準に購買を決定する」としている。 ※Uはウムラウト
WELL認証(ウェルにんしょう)
建物に入居する人の心身の健康を促したり、快適性や自身に適したライフスタイルの確立に好ましい影響をもたらしたりする建築物に与えられれる認証。オフィスビルの場合、そこで働く従業員の心身を活発にさせ、労働生産性を向上させられると評価された建物がwell認証を得られる。公益企業のIWBI(International WELL Building Institute)が運営しており、環境性能総合評価システムLEEDの認証も行っている第三者評価機関のGBCIが認証を行っている。建築物を利用する者が影響を受ける「空気」「水」「光」「食物」「フィットネス」「快適性」「心」の7つの基本コンセプトに沿って審査される。