技術協力プロジェクト(ODA)

1-1 グリーンブルーの技術協力プロジェクトの概要

技術協力プロジェクトとは、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する事業の一つで、開発途上国が抱える課題に対して、一定の期間内で目標を達成するために、日本と相手国が共同で協力計画を作り上げ、問題を解決していく取り組みです。

JICAの行う技術協力プロジェクトでは、委託を受けたコンサルタント会社が、専門家チームを派遣しカウンターパートに対して技術協力を行うと共に、日本でのカウンターパート研修や、供与機材の機種選定(場合によっては調達作業を含む)などが実施されます。

グリーンブルーは、2008年現在2件の技術協力プロジェクトに参加し、専門家を現地に派遣して技術指導に当たっております。

対象国 案件名 実施時期
ルーマニア 国立環境レファレンスラボラトリー
強化プロジェクト
2006.1~2008.11
メキシコ 全国大気汚染モニタリング
強化支援プロジェクト
(補強団員)
2004.10~2008.10

メキシコの地方測定局で現地スタッフと行った自動測定機オーディット作業

カウンターパートと共同開催した技術セミナー

【関連WEBサイト】

事例紹介:「ルーマニア国立環境レファレンスラボラトリー強化計画」

プロジェクトの概要

ルーマニアは2007年1月にEUに加盟を果たしましたが、取り組みが遅れていた環境管理能力の強化が重要課題の一つとされていました。そこで同国政府は全国レベルの大気汚染モニタリング体制の確立と並んで、国立環境レファレンスラボラトリー(以下「NRL」)を設立することを決定しました。そして国家環境保護庁を設置して、その下部にNRLとモニタリング課(以下「MD])を置いて全国の地方ラボを統括支援する体制としました。しかしながら、設立間もないNRLとMDの能力強化が急務であるとして、日本政府に対して技術協力の要請があったものです。

JICAは2年間の技術協力プロジェクトを実施することとし、グリーンブルーは株式会社数理計画とのJVにより以下の専門家より成るチームを結成し、2007年1月より本プロジェクトを実施しております。

専門家チームの構成

● 総括⁄大気質モニタリング
○ ラボラトリーマネジメント(ISO/IEC 17025認定取得支援)
◯ 自動測定機・濃度校正
● 原子吸光分析(大気中粒子状鉛の測定)
◯ ガスクロマトグラフ(大気中ベンゼン測定)
● モニタリング・データベース
● 業務調整
(○はグリーンブルーより派遣)

各担当は、カウンターパートに対して測定分析技術の指導、手法の標準化、SOPの作成支援などを行っています。

測定局舎屋上でのパッシブサンプラー取付け

技術セミナーでのプレゼンテーション

1-2 JICA調査等における技術移転活動

JICAの委託業務として行われる「開発調査」(現地国のインフラ整備や制度構築を目的とするマスタープラン作成のための調査)などにおいても、カウンターパートへの技術移転が行われています。

グリーンブルーは、JICAの開発調査に携わるコンサルタント団員の派遣や、開発調査の一環として現地で行われる環境測定業務にも参加し、国際的な環境保全の支援に貢献しています。

また、別項で紹介している「無償資金協力」の事業においても、機材などのハードウェアの支援と並んで、「ソフトコンポーネント」と呼ばれる技術移転活動が行われることがあります。

対象国 案件名 技術移転内容/実施時期
インドネシア 環境管理センタープロジェクトに係る能力強化プロジェクト 水質分析
1994.2~1995.3
イラン 火力発電所環境影響評価調査 1996.10~12
中国 開発途上国環境保全計画策定支援調査(貴州省調査業務支援) 1997.3
中国 貴陽市 大気環境モニタリング調査
(国際協力銀行業務)
大気粉じんサンプリング・濃度測定
イオンクロマトグラフ分析
中国 貴陽市 大気汚染対策計画調査 発生源排ガス測定の指導
2003.2~11、2003.10~2004.5
エジプト 第二次地域環境監視網機材整備計画
(ソフトコンポーネント)
発生源排ガス測定、大気環境測定の指導 2004.1~2
パキスタン 環境モニタリング整備計画
(ソフトコンポーネント)
大気汚染自動測定機の保守管理技術、発生源排ガス測定の指導
2007.2~3

ばい煙たなびく貴陽市街

中国側技術者への技術指導

1-3 エジプトにおけるソフトコンポーネント業務

無償資金協力事業 「エジプト国 第二次地方環境監視網機材整備計画」では、2004年1月にエジプト南部の地方支所3か所に機材が整備されました。本プロジェクトでは、導入された機材が正しく取り扱われ効果的に利用されるよう、新しいラボのスタッフに対する技術トレーニングを実施いたしまた。

グリーンブルーは、大気汚染自動モニタリングと排ガス測定に関する技術指導を、カイロ中央センターのスタッフと、機器メーカーのエジプト国内代理店の技術者の協力を得て実施いたしました。水質分析に関するトレーニングは、島津製作所のサービスエンジニアが担当しました。

写真は、移動大気観測用のトレーラーに搭載した大気自動測定機の取り扱い研修と、排ガス採取の操作練習の様子です。

移動大気観測車(奥)を前にしての取り扱い研修

実験室内での排ガス採取の模擬練習風景

1-4 短期専門家派遣

グリーンブルーは以下の案件において、短期専門家の派遣を行い貢献いたしました。その一例として、分析ラボのフォローアップ調査の事例をご紹介します。

対象国 案件名 技術移転内容/実施時期
インドネシア 環境管理センタープロジェクトに係る 能力強化プロジェクト 水質サンプリング指導、クロスチェック分析、
レポート取りまとめ ⁄ 1994.2~1995.3
インドネシア 環境管理センター煙道排ガス測定 森林火災の測定、簡易測定技術指導
トルコ 道路環境測定用機材 大気汚染データ処理システムの設置
インドネシア、マレイシア、ベトナム 工業標準分野プロジェクト連携促進事業(経済産業省) 金属分析の技能試験フォローアップ
エジプト 基本設計調査の事後調査 フォローアップ調査⁄2008.3

事例紹介:ラボ技能試験フォローアップ調査

経済産業省管轄の「工業標準分野プロジェクト連携促進事業」の一環で、ASEAN諸国のラボ間で実施された技能試験(分析クロスチェック)のフォローアップ調査が行われ、グリーンブルーは専門家を派遣した実績を有しています。

技能試験は2001年にマレイシアの認定機関が中心となって進められたもので、金属水溶液試料をASEAN地域の41ラボに配布し、原子吸光分析その他によって出したデータを集めて統計解析が行われました。解析の結果、3σ(標準偏差の3倍)以上の「外れ値」を数多く出したラボを巡回するフォローアップが実施されました。

グリーンブルーはJICA短期専門家としてこのフォローアップ調査を担当し、インドネシア、マレイシア、ヴェトナムの3カ国で計9ラボおよび関係機関を訪問。ラボの状況視察や担当者への聞き取りを行った上で、外れ値の原因についてスタッフとディスカッションを行いました。

標準溶液の調製手順の確認

原子吸光分析による金属分析の状況を確認

ラボスタッフとのディスカッション

製品・サービスに関するお問い合わせ

グリーンブルー株式会社
TEL:045-322-3155 FAX:045-410-3460
E-mail:sales@greenblue.co.jp
お問い合わせフォームへ