ダイオキシン類低濃度の不思議

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廃棄物焼却施設での燃焼に伴って出てくる燃焼ガスには、燃焼管理をどんなに良好な状態で行っても1立方メートル当たり数ナノグラム(ng-TEQ/m3N)のダイオキシン類が発生します。ところが様々な排煙処理装置を経て、大型焼却施設の煙突から排出される排ガス中のダイオキシン濃度は 0.005ng-TEQ/m3Nなどという超低濃度値が報告されています。

なぜ、燃焼ガスでは数ng-TEQ/m3Nの濃度であるのが 10,000分の1ほどにも下がるのでしょうか。それには2つの理由があります。

1)除去装置の活用

焼却炉内で発生したダイオキシン類は、そのまま煙突から外気に放出される わけではありません。ダストを除去したり、ガス中の塩化水素を除去したりします。

そうすることでダストに付着していたダイオキシン類(約70~90%)やガス状のダイオキシン類(約10~30%)も同時に除去されます。ダストに付着したダイオキシン類を取り除くには、多くの場合バグフィルターを使います。また、ガス状ダイオキシン類を取り除くには消石灰を吹きこみます。さらに、フィルターの効率を上げるために活性炭を吹きこみます。こうすることでガス中のダイオキシンを90~99%除去することができるのです。

2)高い定量下限(少なすぎる試料量)

通常、排ガス中のダイオキシン類濃度を測定するには4立方メートルほどの 排ガスを採取します。これに対して大気中のダイオキシン類濃度を測定するには1,000立方メートルほどの空気を採取します。採取する試料量が4立方メートル(排ガス)と1,000立方メートル(大気)と違うのは、排ガスと大気では測定しようとする目標濃度が1,000倍ほども違うからです。

以前は、排ガスの排出基準が 80ng-TEQ/m3Nと高かったので4立方メートルの試料量で十分でした。しかし、ダイオキシン類対策特別法が施行され、全ての燃焼施設でバグフィルターなどの排煙処理施設が導入されると、ダイオキシン類の排出濃度は急激に低くなりました。暫定基準値が廃止され、新たに排出基準が0.1ng-TEQ/m3Nとなると、それまでと同じ試料量ではしっかりと正しい濃度を定量するには不足するようになってきたのです。採取する試料の量が不足すると、分析する際に最も重要な人体毒性の高いダイオキシン類の種類(4~5塩素化のダイオキシン類)が不検出になってしまいます。検出されて定量できるダイオキシン類の種類は人体毒性の低い7~8塩素化のダイオキシン類だけになってしまう可能性が高くなります。7~8塩素化のダイオキシン類は4~5塩素化のダイオキシン類の100~1,000分の1程度しか毒性評価されないため、 報告されるダイオキシン類濃度(毒性当量)は、「0.00001ng-TEQ/m3N」などといった極端に低い値になってしまいます。

高度な排ガス処理装置の整備された施設では、煙道やバグフィルターを清掃し、 ダイオキシン類除去用の吸着剤(消石灰や活性炭)の吹きこみ量を増加させることによって、一時的に排ガス中のダイオキシン濃度を低減させることができます。これは排ガス中のダイオキシン類測定の際に、意図すれば人為的にその測定時間中だけ、ダイオキシン類の濃度を下げられることを意味します。また、その濃度の測定には、肝心な塩素化数の低いダイオキシンの種類が正しく検出されないために実際より低い濃度値(毒性当量)が管轄の自治体に報告されてしまうことになります。

アメサ(AMESA)は長期間連続して排ガスを採取しているために短期間の人為的な操作による誤差を排除することができます。また、1ヶ月間の連続測定でアメサを使用する場合、採取する排ガス量も大気の採取試料量に近い数百立方メートルを採取して定量するため、毒性評価の対象となる全ての異性体が検出された、正しいダイオキシン類濃度(毒性当量)を測定することができます。

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